浜名湖でのエギング釣りは、足場が良く、初心者向きな釣り場が多いことで知られています。
本記事では、まずアオリイカを中心に、初心者が成功体験を得やすい「秋シーズン」の攻略法を詳しく解説します。
1. はじめての浜名湖エギング|まず知るべきこと
浜名湖がエギング初心者に向いている理由
浜名湖のエギングフィールドは、初心者にとって最高の練習環境です。
足場の良さ:
- 大型の堤防が多く、安全に釣行できる
- トイレや駐車場などの設備が充実している
- 転落のリスクが低い安全設計
魚影の安定性:
- アオリイカの群れが定期的に接岸する
- シーズン中は比較的安定した釣果が期待できる
- 個体数が多いため、失敗してもチャンスが来やすい
浜名湖で狙えるイカ3種類の関係性
浜名湖のエギングでは、3種類の対象魚が存在します。この違いを理解することが、釣果向上の鍵になります。
| ターゲット | 活動レンジ | 難易度 | 狙う時期 |
|---|---|---|---|
| アオリイカ | 中層 | ★★☆☆☆ 中程度 | 秋(9~11月)が最盛期 |
| コウイカ | 底ベッタリ | ★★★☆☆ やや難しい | 初夏~盛夏(5~9月) |
| タコ | 底・岩場 | ★★★★☆ 難しい | 通年(5~10月が主) |
「レンジの違い」が成功を分ける
エギングで最も重要な概念がレンジ(活動層)の理解です。
- アオリイカ=中層狙い:エギを沈めすぎないことが重要
- コウイカ・タコ=底狙い:常にボトムを意識
初心者がコウイカやタコばかり釣れる場合、それは「レンジが下がりすぎている」という重要なサインです。
2. 浜名湖のアオリイカ|初心者が狙いやすい時期
2-1. 春(4~6月)|大型が出るが難しい
春シーズンの特徴:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サイズ | 400~600g程度の良型が期待できる |
| 個体数 | 秋と比べて少ない(★★☆☆☆) |
| 食い気 | 産卵準備のため、やや消極的 |
| 難易度 | 初心者向きではない(★★★★☆) |
春が難しい理由:
- アオリイカの個体数が秋の3分の1程度に減少
- 食い気が落ちているため、アタリが分かりにくい
- エギへの反応が淡泊で、技術が必要
2-2. 秋(9~11月)|小型が多いが数釣りしやすい【初心者向け最盛期】
秋シーズンの特徴:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サイズ | 200~400g程度が中心(小型~中型) |
| 個体数 | 最も多い時期(★★★★★) |
| 食い気 | 非常に積極的で反応が良い |
| 難易度 | 初心者向き(★☆☆☆☆) |
秋が初心者向きな理由
1. アタリが明確:
秋のアオリイカは食欲旺盛なため、エギへの反応が素早く強いです。初心者でも「アタリが来た」ことが明確に分かります。
2. 数釣りで成功体験を積める:
個体数が多いため、連続して釣り上げることも可能。失敗しても次のチャンスが来やすいのです。
3. 技術習熟が早い:
毎キャストで反応があるため、フォール中のアタリの取り方を身につけやすいです。
秋シーズンの2つのサイクル
秋シーズンは2つの異なるフェーズに分かれます。
9月下旬~10月中旬:子イカ(サイズ200~300g)が最盛期
- 最も個体数が多い時期
- アタリが頻繁で、初心者に最適
- 数釣りが期待できる
10月下旬~11月:中型(サイズ300~400g)が混じる
- 良型率が上がり始める
- アタリの頻度は落ちるが、個体の質が向上
フォール中のアタリが「レベルアップの瞬間」
初心者にとって、最初のハードルは「フォール中のアタリを取ること」です。
フォール中のアタリの出方:
- ラインが緩む:最も分かりやすいアタリ
- 重さが急に乗る:エギをイカが抱き込んだ瞬間
- ティップが入る:竿先がわずかに下がる
秋のアオリイカは反応が強いため、この「フォール中のアタリ」を何度も経験でき、技術習得が加速します。
3. 浜名湖のアオリイカ実績ポイント
3-1. 新居弁天海釣公園【初心者向け最適ポイント】

ポイント概要:
位置:今切口に最も近い海釣公園
足場:良好。広い堤防と整備された護岸
施設:駐車場、トイレ、売店あり
釣れる理由:
- 岩礁帯が点在し、アオリイカが着きやすい
- 潮通しが良く、回遊ルートが安定している
- 秋のアオリイカ実績が最も安定している
初心者向けの釣り方:
- 堤防の岩際にキャスト
- エギを沈める(ボトムまで)
- シャク&フォール&ステイを繰り返す
- フォール中のラインの変化に注意
攻略のコツ:
- 時間帯:早朝(5時~7時)、夕方(16時~18時)が有利
- 秋(9月下旬~10月中旬):特に実績が高い
- グロー(夜光)カラーのエギが活躍する
3-2. 舞阪堤(潮通し×岩礁:回遊待ち型)

ポイント概要:
位置:今切口から西側、舞阪地区
足場:中程度。堤防の段差がある
特性:潮通しが非常に良い
釣れる理由:
- 今切口からの潮流が直に当たる
- アオリイカの回遊ルートとして機能
- 岩礁帯が形成された天然の着き場
釣行のポイント:
- 風が弱い日が狙い目
- 潮が緩いときが反応が良い
- 新居弁天との同時狙いで、時間帯をシフトさせるのが効果的
3-3. 網干場(足場低め・手返し良し)

ポイント概要:
位置:舞阪港内の漁港施設
足場:低め。護岸レベルで釣行
特性:複雑な岩礁帯
釣れる理由:
- 漁港内の岩礁帯にアオリが回遊
- ベテランにも人気で、大型実績あり
- 満潮時の食い気が良い
初心者向け適性:
- 足場が低いため、転落リスクが新居弁天より低い
- 手返しが良く、テンポよく釣行できる
- ただし込み具合が多いため、時間帯選びが重要
3-4. 番外編:砂揚げ場・橋脚付近

ポイント特性:
- 基本的にはコウイカ・タコ向けのポイント
- アオリイカが全く釣れないわけではないが、狙いづらい
- 橋脚のミオ筋付近で稀に大型が集まることもある
初心者の使い方:
- アオリイカ狙いのついでに、コウイカ釣りを学ぶ場所として活用
- タコ釣りとの組み合わせで、複数ターゲットに対応
4. まずはこれ!初心者向けエギングタックル
4-1. ロッド・リール
エギングロッド選択のポイント:
| 項目 | 推奨スペック | 理由 |
|---|---|---|
| 長さ | 8.3~8.6ft | シャクリ動作と遠投のバランス |
| 硬さ | L~ML | 感度と操作性のバランス |
| 素材 | グラスファイバー or 複合素材 | 初心者でも操作しやすい |
具体的な選択例:
- 初心者向け価格帯:1,500~3,000円
- 「アブガルシア アレンジ」などの廉価モデルで十分
- 高級ロッドは技術が上がってからで問題なし
リール選択のポイント:
| 項目 | 推奨スペック |
|---|---|
| タイプ | スピニングリール |
| サイズ | 2500~3000番 |
| ギア比 | 5.0~5.5 |
| 糸巻き量 | PE0.6号で150m以上 |
4-2. ライン周り
ライン構成:
PEライン(メインライン)
↓
FGノット(結び方)
↓
フロロカーボンリーダー(ショックリーダー)
↓
クインプルノット(結び方)
↓
エギ
各要素の選択:
| 項目 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| PEライン | 0.6~0.8号 | 感度と飛距離のバランス |
| リーダー | フロロ2~2.5号 | エギの活動を阻害しない |
| リーダー長 | 1m程度 | 結び目が竿に当たらない長さ |
ライン周りの管理:
- 初心者は「ノット(結び)」を完璧にしておくこと
- PEとリーダーの結び方は「FGノット」が確実
- 1シーズンに1度は全取り替えが目安
4-3. 初心者向けエギの選び方
基準サイズは「3号」
アオリイカ狙いの基本は3号エギです。
| サイズ | 特徴 | 初心者向け |
|---|---|---|
| 2.5号 | 食い込みが良い、遠投しにくい | △ 活性低い時 |
| 3.0号 | 標準的、バランス型 | ◎ 最初はこれ |
| 3.5号 | 遠投できる、大型向け | △ 慣れてから |
色選択の基本
秋シーズンのエギ色:
| 色系統 | 特性 | 使うべき場面 |
|---|---|---|
| グロー(夜光) | 光を集める | 夜釣り、早朝、マヅメ時 |
| ナチュラル(白・オレンジ) | 自然な見た目 | 昼間、澄んだ水 |
| パープル系 | 赤紫色 | 反応が悪い時、朝夕マヅメ |
初心者向け推奨セット:
- グロー系1個(夜釣り用)
- ナチュラル系1個(昼間用)
- これだけあれば、秋シーズンは対応可能
秋と春でのエギサイズの使い分け
秋(9~11月):
- 3号中心(子イカ~中型向け)
- 食い気が良いため、サイズより色・動きが重要
春(4~6月):
- 3.5号も選択肢に入る(大型向け)
- エギのサイズでアピール力をアップさせる必要がある
5. アオリイカエギングの基本動作(初心者が覚えるべきこと)
5-1. キャスト→沈める→シャクリ→フォール
これが、アオリイカエギングの基本サイクルです。
Step 1:キャスト
- 目標の岩際に向かって投げる
- 距離よりも狙ったスポットへの正確性が重要
- 初心者は20~30m程度で十分
Step 2:沈める(カウント)
- エギが着水後、竿を立てたままラインを張る
- 「フォール」させる時間が重要
- 沈む時間を「数える」ことで層を把握(1秒で何cm沈むか)
– 5秒カウント=ボトムから1m程度
– 10秒カウント=ボトムから2m程度
Step 3:シャク(竿を持ち上げる)
- 竿全体を使って、下から上へ立てる
- 竿の角度が「2時から10時」程度の上下動が目安
- シャクリはゆっくり、「エギが自然に動く」イメージ
Step 4:フォール(沈める)
- シャクリ後、竿を戻しながらフォール
- この時間が最もアタリが出やすい
- ラインの緩みを監視して、変化に反応
5→4を繰り返す
5-2. アタリの出方
初心者にとって「アタリを感じる」ことが最初の難関です。
代表的なアタリの形:
- ラインが緩む(最も分かりやすい)
– エギをイカが抱き込んで、ラインがたるむ
– 初心者は「ラインの変化」を最優先に探すこと - 急に重さが乗る
– エギが落ちている途中に、重さがズッと乗る
– これが出たら即座に竿を立てる - ティップが入る(竿先が下がる)
– 竿の先端がわずかに下がる現象
– より高度な感知方法。慣れてから習得で OK
初心者が最初に習得すべきアタリ:
→ 「ラインが緩む」を捉えることから始めましょう
5-3. レンジ調整で釣果が変わる
エギングにおいて、レンジ調整は釣果を大きく左右する最重要スキルです。
アオリイカが居る層
アオリイカは中層(ボトムから1~2m上)を活動範囲とします。
中層を狙う方法:
- ボトムまで沈める
- 竿で1回シャクる
- その後、カウント「3~5秒」でフォール
- ラインの緩みを感じたら、即座に竿を立てる
コウイカ・タコが釣れる場合=「底を引きすぎの合図」
もし釣行中にコウイカやタコばかり釣れる場合、それは重要な気づきです。
- 層が下がりすぎている
- シャク後のフォール時間が長すぎている
- 改善:フォール時間を「3秒程度」に短くしてみる
この調整により、自動的にアオリイカのレンジに合致します。
6. 春のコウイカも覚えておくと幅が広がる
秋の初心者卒業後、春シーズンのコウイカを学ぶことで、さらに釣りの幅が広がります。
6-1. コウイカのシーズン(5~9月)
コウイカの特徴:
- 5月初旬の接岸から9月中旬まで狙える
- 底ベッタリの習性により、ボトム中心の釣り
- 「ズル引き」と「ステイ」が基本操作
秋のアオリイカとの大きな違い:
| 要素 | アオリイカ | コウイカ |
|---|---|---|
| 活動レンジ | 中層 | 底ベッタリ |
| 狙い方 | シャク&フォール | ズル引き&ステイ |
| 難易度 | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ |
| 季節 | 秋 | 初夏~盛夏 |
6-2. コウイカ用タックル・エギの違い
ロッドの選択:
- アオリイカ用より「やや硬め」がおすすめ
- ボトム感度を高める必要があるため
エギサイズ:
- 3.0~3.5号がメイン
- アオリイカ用と兼用で問題なし
追加重り(シンカー)の活用:
エギ単体では沈みきらない場合、
「追加シンカー」を装着してボトムを取りやすくする
設定例:
・潮が弱い場合:シンカー不要
・潮が中程度:1号追加
・潮が速い場合:2号追加
6-3. コウイカが釣れる代表的ポイント
プライマリーポイント(専門狙い):
- 砂揚げ場(浜名港)
– 砂地が広く、コウイカの定着地
– 初心者でも比較的狙いやすい
- 村櫛漁港(むらくしぎょこう)
– 底質がコウイカ向き
– アクセスが良く、初心者向け
- ボートレース浜名湖周辺
– 深めの砂地(3~5m)
– 大型コウイカが期待できる
– ボート利用が基本
セカンダリーポイント(アオリと兼用):
- 新居弁天海釣公園:アオリ兼用で、コウイカも狙える
- 網干場:秋はアオリ狙い、春はコウイカも対応
7. 浜名湖エギングで一緒に釣れる可能性のある魚種
エギングの対象魚図解
浜名湖エギングの対象魚と活動レンジ
中層 ━━━━━ アオリイカ
↑
│ 狙い方:シャク&フォール
│
底付近 ━━━━━ コウイカ・タコ
↑
└─ 狙い方:ズル引き&ステイ
釣れる魚の順位と意味
- アオリイカ(中層)= 正解の層
- コウイカ(底)= 「層が下がりすぎ」の合図
- タコ(底・岩場)= 「底を探りすぎ」の重要な警告
初心者が知るべき「レンジの判断材料」
- アオリイカ多数&コウイカなし= 層が完璧
- コウイカ・タコが多い&アオリなし= フォール時間を2~3秒に短縮すべき
8. 初心者が失敗しやすいポイントと避け方
❌ 失敗パターン1:シャクリすぎ問題
症状:
- 常にエギを動かそうとしてしまう
- フォール時間が極端に短い
- 「アタリが全く来ない」という状況
原因:
- 「釣りは魚を動かすもの」という誤解
- 実際には、「落とす時間」の方が重要
対策:
- シャクリ:1回(1秒程度)
- フォール:5秒以上(ここがメイン)
- この比率を意識する
❌ 失敗パターン2:風の日のラインメンディング忘却
症状:
- 風が吹いている日に釣果が激減
- ラインが大きく弧を描いている
原因:
- ラインが竿から引っ張られている
- フォール中のライン緩みが、風に隠れている
対策:
- 定期的に竿を立てて、ラインを張る
- 「ラインメンディング」(竿を横に移動させてラインを整える)を意識
❌ 失敗パターン3:釣れない日に底だけ攻めてしまう
症状:
- 3時間底だけを引いている
- 依然、アタリなし
原因:
- 「何か釣りたい」という焦り
- コウイカ狙いへの無意識のシフト
対策:
- 1時間ごとに、層を変えてみる
- 「今の層で反応がない=別の層を試す」という柔軟性
- 初心者はアオリイカの中層(ボトムから1~2m)に固執
❌ 失敗パターン4:今切口の立入禁止エリアに近づく危険性
重要警告:
浜名湖と外洋の境界である「今切口」は、全面的に立入が禁止されているエリアが存在します。わかりやすくいうと、浜名大橋より南側の突堤全てと、北側の一部です。
他には漁港内や付近は、漁業・港湾関係者以外の立入りを禁止している所もあります。
禁止理由:
- 堤防が高く、潮流が複雑で落水すると非常に危険
- 操業を妨げる行為が禁止(停泊船の近くの釣りや投げ釣りなど)
初心者への注意:
- 新居弁天や舞阪堤から「今切口方向」への進出は絶対に控える
- 看板や標識を見逃さないこと
- 地元釣り人に事前に確認するのが安全
9. まとめ|浜名湖でアオリイカを楽しみたい初心者へ
最初の一歩:「秋の新居弁天」がおすすめ
浜名湖でアオリイカ釣りを始めるなら、以下の組み合わせが最適です。
おすすめの釣行プラン:
季節:秋(9月下旬~10月中旬)
ポイント:新居弁天海釣公園
時間帯:早朝(5時~7時)or 夕方(16時~18時)
対象:アオリイカ子イカ(200~300g)
小型中心でもアタリが多い→習熟が早い
秋のアオリイカが「初心者向き」と言われる理由は、成功体験の質と量です。
- 個体数が多い=失敗後の次のチャンスが早い
- 食い気が良い=技術の未熟さがカバーされる
- 数釣りが可能=自信につながる
フォールのアタリが分かれば春アオリも対応可
秋で「フォール中のアタリを確実に取る技術」を身につけた初心者は、春の大型アオリイカにも対応できるようになります。
秋から春へのステップアップ:
- 秋:小型個体で数釣り
- 秋→冬:アタリ感知の精度を高める
- 春:大型個体でも正確にキャッチ
アオリ・コウイカ・タコのレンジを理解すれば釣果が安定
今回学んだ「レンジの違い」を常に意識することで、釣果は劇的に安定します。
実践的な判断基準:
| 釣れた魚 | 次のアクション |
|---|---|
| アオリイカ多数 | 今の層で継続 |
| コウイカが出始めた | フォール時間を2秒短縮 |
| タコばかり | ボトムを2m上げる |
浜名湖でのアオリイカエギングは、初心者にとって最高の学習フィールドです。秋の新居弁天から始め、小型個体で基本を身につけ、春の大型へとステップアップしていく。その過程は、釣り人として大きく成長する素晴らしいジャーニーとなるでしょう。
本ガイドを参考に、浜名湖でのアオリイカ釣りを思いっきり楽しんでください!

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