浜名湖のクロダイは魚影も濃く、ほぼ全域にいます。
どこでも釣ろうと思えば釣れますし、狙ってなくても釣れることもあります。
クロダイは全国的にも人気なターゲット。
釣り方はすぐ知れるものの、どこでどうやったら釣れるのか━━まで、丁寧に説明していることは少ないですね。
湖内は地域ごとに特徴が違うので、特化した(適した)スタイルが求められます。
本記事では、経験と実績をもとにした、浜名湖全域でクロダイをどう釣るかについて、詳しく解説します。
浜名湖のクロダイを狙うなら知っておくべきこと
クロダイという魚について、軽くおさらいしましょう。
- 小さい時は全体的に白く、大きくなると黒くなる
- 釣り対象は50cmくらいまで、60cm以上の報告もある
- 食性は雑食でなんでも食べるタイプ
- 実は雌雄同体
- 産卵期は春(3~5月)とされている
- 水深50mクラスにもいるが、浅い沿岸に居る時期のほうが長い
釣り対象魚の中でも警戒心が強いほうで、その難しさから攻略対象として人気があります。
浜名湖のクロダイは、水温があがる初夏以降は、浅い沿岸でふらふら泳いでいる姿が見れます。
でも近くによったり仕掛けを入れると、シュッって姿を消す様子は、渓流魚なみの気難しさを感じさせられます。
浜名湖クロダイの最適なシーズンは?
浜名湖のクロダイシーズンはほぼ1年中です。
正確には、2~3月頃に釣れやすくなり、11月頃に釣れにくくなる感じです。
エサとルアーで、向いているポイントとアプローチ方法が変わるため、それぞれ最適なシーズンはあります。
- エサ釣り:ほぼ年中釣れる━━けど、12~2月は釣りにくい
- ルアー釣り:早くて3月から釣れるけど、釣りやすさなら5~8月
クロダイ釣りのシーズンは、早くて2月からはじまり、11月には終わる感じです。
エサ釣りだけほぼ年中釣れる理由は、今切口の堤防は太平洋と繋がっており、高めの水温で循環されているため、居着いているクロダイが多くいるからです。
ふだんはテトラ帯の影に隠れているため、ルアーを通しづらいこともあり、エサ釣りなら釣れる可能性があるわけです。
逆にルアーは時期こそ限定されますが、活性が高いクロダイは積極的にアタックしてくるため、かなり釣りやすくなります。
特別な時期の「産卵期」と「のっこみ」
クロダイの産卵期は、3~6月の春にあたる時期とされています。
ブレが大きいのは、個体差があるのと、水温(天候)が影響するためです。
冬は深い水域でジッとしていますが、適正水温の18度くらいになると、浅瀬に移動して産卵行動に入ります。
その過程でエサをたくさん食べるので、産卵期は沿岸でも大型が釣れやすいわけです。
のっこみは秋に水温が下がることで、浅瀬から深場へ移動をする行動のことです。
浜名湖におけるのっこみは、奥浜名湖の深場に行くのと、太平洋へ出るため今切口を通るルートに分かれます。
群れで移動するため、うまく群れに遭遇すると、いい型がよく釣れるわけです。
釣れる時間帯の最適解
釣れやすい時間帯は、潮時表を参考に「上げ3分、下げ7分」がひとつの指標。
大型になるほどエサを食べる頻度が減るため、食べる時間帯に合わせた釣行が鍵になります。
しかしクロダイは雑食すぎるため、砂底のアサリを掘り返したり、エビやカニを食べたり、小魚や海藻を食べたりなどをしているため、釣りエサに興味を持たせることに苦労します。
釣る時間帯は確かに大事ですが、相手が思わず食べたくなるアプローチを考えることが、何より大事な攻略方法といえます。
浜名湖でクロダイ釣りの人気ポイントをエリア別で
浜名湖でクロダイが釣れるのは、ほぼ全域が当てはまります。
……とはいえ、釣れやすさはシーズンで違いますし、ポイントでも変化します。
この項目では、「釣れやすい・釣りやすい」に絞りつつ、過去の実績を加味したおすすめポイントを、エリア別でいくつか紹介します。
表浜名湖で人気のポイント
表浜名湖のおすすめポイントは、今切口近くの堤防です。
特にこの2箇所は湖内でも屈指の人気ポイントです。
どちらも特徴としては、護岸堤防から5mほど消波ブロックや沈み石があることです。
クロダイはこれで影を隠しつつ、岩に着いている貝や落ちてくるカニをエサとしています。
太平洋と繋がっているため、一年通して水温が高めの状態が続き、クロダイが居着きやすい環境になっています。
おすすめの時期は4~10月。
釣り方はエサ釣りが向いており、活カニとカラス貝で前打ちがおすすめです
中浜名湖で人気のポイント
中浜名湖はキビレのほうが多くなり、クロダイだけ釣るのは難しくなります。
それでもエサが豊富な干潟には姿を見せるため、夏の高水温シーズンは、ルアーかフライを使ったサイトフィッシングが向いています。
干潟にクロダイが来るのは、好物のエビとアサリが居るからです。
おすすめの時期は5~9月で、ルアーならポッパーかクランクベイト、フライはエビやカニのイミテートがおすすめです。
奥浜名湖で人気のポイント
奥浜名湖は夏になると、岸辺でクロダイとキビレが泳ぐ姿が見えます。
「見える魚は釣れない」との言葉があるように、テクニックが問われるポイントです。
おすすめの時期は6~9月。
特に舘山寺は個体の多さなら抜群で、日中に活カニかモエビを使った前打ちか、ポッパーなどのトップ系ルアーで攻めるのがおすすめです。
瀬戸水道と佐久米海岸は、奥浜名湖でも水深が深めなポイントで、投げ釣りでそこそこ実績があります。

クロダイ釣りは岩礁帯はエサ、砂地はルアーが向いてます。岩礁帯は岩からエサが落ちることをイメージして、砂地は底付近のベイトを意識するのがコツ。
クロダイを釣るタックルの選び方(エサ・ルアー)
クロダイ釣りはエサかルアーの選択で、ポイントごとで使い分ける必要があります。
この項目では、浜名湖で最も基本的な釣り方とタックル構成を説明します。
エサ釣りでおすすめのタックル構成
エサ釣りでもっとも釣りやすいのが、活カニを使った前打ちです。
前打ちの特徴は、針にガン玉(小さなオモリ)をつけてカニを沈めやすく、自然に落ちるように演出する仕掛けのことをいいます。
前打ちに使う基本的なタックル構成は次の通り。
- 竿:6~7m以上のべ竿か磯竿
- リール:太鼓リール
- ライン:道糸3号、ハリス1~3号
- 針:チヌ3号か4号
仕掛けは非常にシンプルで、糸と針とオモリだけでよく、コスパ良く大型も釣れることが魅力。
ただ、ひとつ問題があって、今切口の前打ちは最低でも6m以上は竿の長さが欲しいこと。
この長さが欲しい理由は、手前に沈んでいる石の先に効率良くエサを落とすためです。
だいたい5.4mまでが一般的なので、7mクラスはいちおう市販はされているものの、用途が限られすぎてて売っている釣具店が稀です。
もし手に入れるなら、今切口近くの釣具店はだいたい置いているし、AmazonなどECサイトで注文するのもいいでしょう。以下に一例をあげておきます。


前打ちで使うハリスは1号が理想ですが、安全にいくなら3号がベター。
カニでもフグはよく食べてくるため、特に多い夏前後は仕掛けをフグに切られることが多くなります。
そのため、ハリスをいくら太くしても効果はなく、どちらかといえば早く魚を浮かすために、竿を強くしたほうが効率的ですね。
針の大きさの目安は、オーナー針の「前打ちチヌ」を参考にすると、3号と4号がちょうどいいくらい。
ルアー釣りでおすすめのタックル構成
クロダイのルアー釣りはチニングと呼ばれています。
雑食性で動くエサに突進する習性があり、ルアーに反応しやすいですが、時期によってレンジを合わせる必要はあります。
- 春:底付近をゆったり通したいのでシンキングペンシルかワーム
- 夏:高活性なら水面でも反応するからポッパーかペンシルベイト
- 秋:中層以下を通したいのでレンジバイブ・ワーム・シンキングペンシル
主に使うルアーはこのくらいで、それぞれに対応しやすいタックルは次の構成です。
- ロッド:8ft前後、5~16g程度のMLモデル推奨
- リール:2000番か3000番で十分
- ライン:メインPE0.8号、リーダー1.5~3号
ルアーロッドはチニング向けもありますが、シーバスモデルでも構いません。
長さは8ftあれば湖内どこでも対応できます。
堤防からのキャスティングも飛距離は十分出るし、ウェーディングなら取り回しやすい長さです。
リールに巻くメインラインはPE0.8号で良く、リーダーは2号前後を目安に、あとは好みで選びましょう。
おすすめのルアーは、チニングで検索すればいろいろ出てきますし、おすすめルアーもウェブ上で知ることができます。
浜名湖のクロダイをルアーで狙うなら、「ポッパー」「チニングワーム」「シンキングペンシル」「50mmくらいのミノー」「10g程度のレンジバイブ」があると、どこでも対応することができます。
ルアーのサイズは5cm前後がおすすめで、どのルアーでもクロダイのついでにシーバスも釣れる可能性があるから、期待しながら投げましょう。
クロダイの美味しい食べ方と料理レシピ
クロダイといえば刺し身のイメージがある方もいると思いますが、注意して欲しいことがあります。
真鯛はそもそも外洋にいるので、内湾のクロダイよりも臭くなりにくく、クセのない刺し身にできます。
浜名湖のクロダイで刺し身にしたいなら、今切口周辺のみに限定したほうが無難で、他の地域は加熱調理したほうが安全です。
ちなみに奥浜名湖の個体は、刺し身で何度も食あたりしている友人がいるので、ど~しても刺し身がいい方は自己責任でお願いします。
では刺し身以外で、クロダイのおすすめのレシピをいくつか紹介します。
シンプルに塩焼きが簡単で美味い!
塩焼きはシンプルかつもっとも美味しく頂ける調理法だと思います。
30cmくらいまでがグリルの収まり的にも丁度よく、脂に臭みも少ないためおすすめです。
ウロコ焼き━━みたいな調理法もありますが、内臓を取ってウロコも取ってしっかり水で洗い流し、塩をまぶして1日寝かせてから焼くと、香りも良くなります。
大型は臭みが強い個体もあるので、スパイスやカレー粉をまぶすといいですよ。
大型は三枚おろしからの煮付けがベター
クロダイは大型になればなるほど、身がやせ細るかどっぷり脂をたくわえるかのどちらかです。
産卵期の個体はその差が激しく、奥浜名湖は特にその傾向が強いため、煮付けで余分な脂を浮かせつつ、柔らかい身に味をしみこませる煮付けが向いています。
40cmを越える大型でも、頭を落とせば30cm台の鍋かフライパンに入りますし、じっくりコトコト煮込めばいいので、手間も少なくて楽な調理法です。
三枚おろしてムニエルかポワレ
大型で調理に悩んだら、とりあえず三枚おろしにしましょう。
切り身に塩をふって脂と水気を抜き、昆布締めなどでしっかり処理すれば、冷蔵庫で3日ほど保ちます。
残った頭や骨はしっかり血を洗い流し、一度焼いて臭みを取り、味噌たっぷりのアラ汁がおすすめです。
昆布締めした切り身は、小麦粉をまぶしてムニエルか、オイルたっぷりのポワレでカリッと仕上げると香ばしさが食欲をそそります。
ハーブを使ってもいいですし、小麦粉とオリーブオイルがなければ、塩焼きでも構いません。
素材の味を活かす酒蒸し
日本酒か料理酒がたくさんあることが条件ですが、シンプルだけど素材の味を活かす調理法です。
香味野菜やトマトを入れればアクアパッツァにもできますし、醤油とみりんに出汁を加えれば、煮付けに変化することもできるので、調理の方向性に悩んだ時に「まず酒蒸し」と覚えておくといいでしょう。
味付け無しは流石に味気なさすぎるので、ヤマサの貝だしつゆがあると、より美味しくなります。
貝出汁は自分で用意するのが面倒ですが、煮物や野菜炒めにパスタの隠し味など、ワンポイントでなんにでも合うので、常備しておくといろいろな料理で味の深みが増しますよ!


私がクロダイを調理するときは、塩焼きか煮付けのどちらかが多いですね。ハイシーズンでよく釣れると、洋風に味変します。
ちなみに天ぷらを試したことはありますが、臭みが増幅されてクッソ不味かったです。
まとめ:クロダイを釣るならエサorルアー?
この記事をなるべく短くまとめると、以下の感じになります。
- 浜名湖のクロダイは3~11月が釣りシーズン
- 産卵期は3~6月が該当し、スタートは水温次第(18度)
- 人気ポイントは今切口の海釣公園と舞阪堤でエサ釣りが向いている
- ルアーなら奥浜名湖の沿岸全域が該当し、特に夏がおすすめ
- エサとルアーはどちらでも釣れるし、シーズンとポイントで最適を決める
- エサ釣りは活カニ・モエビ・カラス貝などで前打ちがベスト
- ルアー釣りは、春ならシンペン、夏はポッパー、秋はレンジバイブとチニングワーム
浜名湖内でクロダイを釣るなら、1シーズンにおけるチャンスの多さではエサ釣りが有利かなと思います。
ルアーが劣っているわけでもなく、ポッパーにアタックする姿はテンション上がりますし、活エサを毎回用意する手間もないので、どちらもメリット・デメリットがありあす。
活き餌のカニを用意するのは、釣具店の入荷具合に左右されがちです。
網があれば現地調達もできますし、中之島や佐久米海岸など、干潟にある石をひっくり返すとカニが潜んでいるので、事前に拾っておくこともできます。
とはいえ夏は暑さですぐ弱るので、冷暗所なり保冷剤で水温を調整するなど工夫をしましょう。
ルアーを選ぶなら、浜名湖周辺の釣具屋に「おすすめ」が必ずあるし、確かな実績もあるので参考にしましょう。
この記事が誰かの参考になり、釣果に結びついたら最高です!
ルールを守って安全に、そして楽しく、浜名湖の釣りを楽しんでくださいね。
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