浜名湖の中で、名前を知っていても「行ったことがない」アングラーが多いのが猪鼻湖だ。
舘山寺や弁天島のような観光地と違い、猪鼻湖周辺には大きな駐車場もなく、電車でのアクセスも現実的ではない。車で乗り付けて岸沿いを歩かなければならず、釣りができる場所も限られている。その「入りにくさ」こそが、このエリア最大の武器になっている。
訪れる釣り人が少ない分、魚のプレッシャーが低い。水の流れが穏やかな閉鎖性水域であるため、クロダイ・キビレ・シーバスが落ち着いて居つきやすい環境が整っている。知っている人だけが恩恵を受けているエリア——それが猪鼻湖の正直な評価だ。
猪鼻湖が「穴場」である理由
猪鼻湖は浜名湖の最奥部に位置し、細江町・三ヶ日町方面から車でしかアクセスしにくい。周囲の釣り場は限られており、人が集中するのは三ヶ日駅付近の護岸など一部のポイントだけ。それ以外は競争率が低く、のんびりと腰を据えた釣りができる。
水質は浜名湖本湖と比べて汽水の影響がやや薄く、独特の環境を形成している。これがクロダイ・キビレに加え、秋冬のシーバスや南東部でのカレイ釣りの実績につながっている。
なお、ウナギは猪鼻湖にいないわけではないが、釣りの対象として積極的に狙うべき魚ではない。むしろ、猪鼻湖周辺には有名うなぎ店が複数あり、専門店で食べるほうが賢い選択だ。
シーズン別ターゲット早見表
| 月 | 主なターゲット | 備考 |
|---|---|---|
| 3〜5月 | クロダイ(乗っ込み)・キビレ | 春の乗っ込みで大型が浅場に入る |
| 6〜9月 | クロダイ・キビレ・シーバス | 高水温期は夜間に活性が上がりやすい |
| 10〜11月 | シーバス・クロダイ | 秋の荒食いシーズン |
| 12〜2月 | カレイ(南部・東部限定)・シーバス | 基本的には厳しい。水深があるエリア限定 |
冬は全体的に厳しくなるが、猪鼻湖の南側(瀬戸水道方面)から東部にかけては水深があり、カレイの実績がある。遠投できるタックルがあれば陸からでも狙える数少ないシーズンだ。国土地理院の水深図で確認すると、猪鼻湖の地図上で右半分(南〜東部)が比較的深いことがわかる。
3つのアプローチを比較する
猪鼻湖を攻略する方法は大きく3つある。自分のスタイルと装備に合わせて選択しよう。
ショア(陸っぱり)で狙えるポイントと釣り方
護岸から直接狙う陸っぱりのスタイル。装備が少なくて済み、最も手軽にエントリーできる。
三ヶ日駅付近の護岸は夏から秋にかけて、ウキ釣りでクロダイ・キビレをはじめ、さまざまな魚が狙える。比較的アクセスしやすく、初めて猪鼻湖に来る人にも入りやすいポイントだ。
大型のクロダイやカレイを狙うなら、猪鼻湖の南部・東部エリアへの投げ釣りが有効。水深があるこのエリアは、80m前後の遠投で広範囲を探ることができる。
水温が高い夏から初秋はウキ釣りでも十分だが、春や晩秋——水温が適正値から下がりかけているタイミング——は魚が底べったりになりやすい。この時期は投げ釣りで広範囲を探るほうが結果が出やすい。
ウェーディングで広がる世界
ウェーダーを履いて水の中に入ることで、陸から届かないシャローを直接攻めることができる。
猪鼻湖でウェーディングに向いているのは西部エリア(リゾートホテルが立ち並ぶ側)。砂と砂礫が混じったボトムはチヌのエサ(アサリ・カニ)が豊富で、ずる引き系のアプローチが効きやすい。
ただし、このエリアは駐車場が極端に少ないという現実的な問題がある。ホテルの敷地沿いにエントリーする場合は、無断侵入にならないよう事前の確認が必要になることもある。訪問前に駐車場所を必ず確保してからアプローチしよう。
猪鼻湖は見た目より水深の変化が急なエリアがある。ウェーディング中に思わぬ深みにはまらないよう、ライフジャケット着用は必須。初めてのエリアでは慎重にステップを踏もう。
SUP・カヤックフィッシングが真価を発揮する理由
エンジン音のない静かなアプローチで、陸から届かない沖のポイントに入れるのがSUP・カヤックの最大の強みだ。猪鼻湖にはエントリーしやすい場所があり、ショアからは探れない中央部や細江上流方面へのアクセスが可能になる。
ただし、猪鼻湖の南部〜東部(地図上の右半分)は水深があり、タイミングによって潮流が強くなる。カヤックで入る際はこのエリアの流れの変化に注意が必要だ。
夏から秋にかけては特に注意が必要で、この時期はジェットスキーやウォータースポーツの利用者が増える。カヤックには視認性を確保するための標識旗の装着が必須。さらにSUPの場合、立ち上がっていないと他の利用者から非常に見えにくい。ジェットスキーはスピードが速いうえ、操縦者の視野が限られているため、遠くにいても「見えているはず」という思い込みは危険だ。
ライフジャケット着用は法令上の義務。カヤックは標識旗を必ず装備すること。SUPの場合は立ち姿勢を維持し視認性を確保する。ジェットスキーとの接触事故を防ぐため、エリアの混雑状況を常に確認しながら行動すること。
カヤック・SUPフィッシングの入門知識はこちらの記事で詳しく解説している。

確実に仕留めるためのタックル選択
猪鼻湖で主なターゲットとなるのはクロダイ・キビレ・シーバスの3魚種と、冬のカレイ。クロダイ・キビレ・シーバスは釣れる場所が重なることも多いが、時間帯・ルアーのタイプ・レンジをきちんと使い分けることが釣果の差になる。
日中のチニングはボトム付近を丁寧に探るボトムゲームが基本。マヅメ時から夜はトップウォーター→シンキングミノーの順でレンジを下げていく。シーバスも同じタイミングで反応するため、ルアーは兼用できるものを選ぶと効率的だ。
カレイ(冬・南東部エリア)は遠投タックルが必要。PE1号+リーダーの標準的なサーフキャスティングセットで対応できる。
チニングロッド(クロダイ・キビレ共通)猪鼻湖の水深が浅いシャロー帯では、ボトムの変化を感じ取れる感度が釣果を左右する。チニング専用ロッドの使用を推奨する。
砂礫底が多い猪鼻湖西部のウェーディングエリアでは、ずる引きしやすいワームセットが有効。根がかりが少ない設計のものを選ぶと扱いやすい。
ウェーディングエントリーには透湿素材の軽量ウェーダーが快適。猪鼻湖は水温が比較的安定しているため、夏場でも薄手のウェーダーで問題ない。
PYKES PEAK 夏用ウェーダー ラジアルソール
夏場や気温の高い時期に最適なウェーダー。内側がベタつかない設計で、手軽にウェーディングを楽しめる。
洋上でも水中でも、ライフジャケットは必ず着用する。コンパクトな手動膨張式はパドリングの邪魔にならず、カヤック・SUP・ウェーディングのどのスタイルにも対応できる。
JES-BASARO (ジェスバサロ) 手動膨張式 ライフジャケット
カヤックやSUP、ボートでの落水時に浮力を確保する必須アイテム。コンパクトでパドリングの邪魔になりません。
猪鼻湖エリアのおすすめポイント
猪鼻湖単体のポイント記事はないが、奥浜名湖の隣接エリアとして以下のポイントと組み合わせて釣行計画を立てるのがおすすめだ。



⚠️ 安全・ルールについて
- ライフジャケット着用:カヤック・SUP・ウェーディングすべての洋上・水中アクティビティで義務
- カヤック標識旗:他の水上利用者への視認性確保のため必須装備
- ジェットスキーへの注意:夏〜秋は混雑する。SUPは特に視認されにくいため常に警戒
- 急深エリア:見た目より急に深くなる箇所があるため、ウェーディング中は慎重に
- 漁業権エリア:猪鼻湖内には漁業権が設定されているエリアがある。遊漁規則を事前に確認すること
- 駐車・マナー:駐車場のない場所での無断駐車は厳禁。地域住民への配慮を忘れずに