私(さしし)が初めてカレイングに挑戦したのは、12月の網干場でのことでした。
エサ釣り用の投げ竿ではなく、シーバスロッドにフリーリグを組んで砂底をズル引きしていると——「コツッ」という鈍い感触が手元に伝わりました。
止めて聞き合わせを入れた瞬間に「ドドドッ」と走り出した引きに、思わず竿を持つ手に力が入りました。
上がってきたのは28cmのマコガレイで、口の中にしっかりワームを飲み込んでいました。
「カレイってルアーで釣れるんだ」という驚きと、エサ釣りとは全く違う「手元で食わせた」満足感が、カレイングにはまったきっかけです。
「カレイング」とは、カレイをワーム(ソフトルアー)を使って狙う新感覚のルアーフィッシングのことです。
冬の浜名湖と言えばカレイ釣りですが、エサ釣りが一般的な一方で、近年はルアーでアグレッシブに狙うスタイルが注目を集めています。
浜名湖の広大な砂地やかけあがりは、カレイングの絶好のフィールドです。
その魅力と釣り方のコツ、おすすめのタックルを詳しく解説します。
カレイングの魅力
手軽に始められる:生き餌(青イソメなど)を用意したり、専用の投げ釣りタックルを揃えたりする必要がありません。
手持ちのシーバスロッドやエギングロッド、簡単な仕掛け(リグ)を持ち歩くだけで、誰でも気軽に楽しめます。
高いゲーム性:「待ち」の要素が強いエサ釣りとは異なり、自分から仕掛けを動かして口を使わせるまでの駆け引きが大きな魅力です。
同サイズであれば、実はヒラメに負けないほどの強い引き(ファイト)を楽しめます。
カレイの嗅覚を使った独自の釣り:カレイは視力があまり良くない一方で、嗅覚が非常に優れています。
匂いのあるワームを使うことで、エサ釣りに近い感覚で誘いながら、ルアー釣りのゲーム性も楽しめるハイブリッドな釣りです。
カレイングにおけるカレイの生態
カレイ(マコガレイ・イシガレイ)は砂泥底に腹を付けて生活する「底物魚」です。
扁平な体で砂の色に溶け込みながら、砂底に潜むゴカイ・アオイソメ・小型の甲殻類を待ち伏せして食べます。
浜名湖では冬(11〜3月)が最盛期で、水温が15℃を下回る12〜2月頃にミオ筋の深場に集まります。
カレイは移動速度が遅く、「自分のなわばり付近に入ってきたエサを確実に食べる」という捕食スタイルを持っています。
そのため、ルアーは速く動かすのではなく、カレイの目の前でじっくり見せて「噛みつかせる」アクションが効果的です。
カレイの顎は硬く鋭い歯を持っており、ワームをしっかりと噛み砕く力があります。
この「噛みつく」性質を利用したカレイングでは、アタリが出ても少し待って深く口の中に入れてからフッキングするのが成功の秘訣です。
狙うべきポイントは「変化」
カレイを狙う基本は、もちろん砂地のエリアです。
しかし、ただの平坦な砂地よりも、以下のような「地形の変化」がある場所が特に狙い目となります。
海底のブレイク(かけあがり・ミオ筋):深い場所から浅い場所へ急激に変化する斜面の付近にカレイが潜んでいます。
砂地の中に点在する沈み根:根周辺は小型の甲殻類やゴカイが豊富なため、カレイの溜まり場になります。
消波ブロックや堤防の基礎周辺:構造物の影が砂底に落ちる「シェードの際」が絶好のポイントです。
潮流の変化(潮目)がある場所:流れの変わり目にエサが溜まりやすく、カレイが待ち構えています。
釣り方とアクションのコツ
カレイはヒラメと違い、動きの速い獲物を遠くまで追いかけるのが苦手です。
そのため、仕掛けを海底(ボトム)から離さないことが最大のポイントとなります。
ズル引きとストップ&ゴー:仕掛けを海底までしっかり沈めたら、海底の砂の模様(砂紋)を一つ一つ弾くようなイメージで、ゆっくりと「ズル引き」をします。
そして、1〜2秒ほど底で動きを止める(ステイ)動作を繰り返します。
アタリがあっても止めない:カレイがワームをついばむ「コツッ」とした小さなアタリ(ショートバイト)があっても、そこで驚いて動きを止めてはいけません。
適度にワームをアクションさせ続け、しっかり奥まで吸い込ませる「食わせの間」を作りましょう。
ボトムバンプ:潮が沖に向かって流れているような時は、仕掛けを浮かせすぎないよう一点で小刻みに跳ねさせ(ボトムバンプ)、意図的に砂煙を上げてアピールするのも有効です。
反応がない時は、ワームのカラーやアクションのスピード、狙うポイントをマメに変えて、その日のカレイの反応が良いパターンを探りましょう。
カレイングのタックル構成
専用のタックルを用意しなくても、手持ちのルアータックルを流用できるのがカレイングの良いところです。
フラットフィッシュ(ヒラメ・マゴチ)用のタックルがあれば、そのまま使用できます。
ロッド(竿)とリール
ロッド:カレイの小さなアタリを捉え、海底の地形を感じ取れる「感度に優れた」ロッドが適しています。
シーバスロッド(MLクラス)、エギングロッド、ロックフィッシュ用ロッドなどが流用可能です。
長さは7〜9フィートが扱いやすく、遠投もしやすいです。
リール:ロッドの長さに合わせた、2500番〜3000番クラスの一般的なスピニングリールで十分対応可能です。
ラインはPE0.6〜1号にフロロカーボンリーダー10〜14lbを組み合わせると感度が高くなります。
おすすめのリグ(仕掛け)とフック
釣り場の地形に合わせて、以下のリグを使い分けます。
バレットシンカー等を使ってワームを沈めますが、底べったりに着底させる必要があるので、シンカーとワームを離しすぎず、不自然な浮力を与えないのがコツです。
テキサスリグ/フリーリグ:岩礁が混じる砂地など、根掛かりが心配な場所に最適です。
特にフリーリグはワームが自由に動くためナチュラルに誘え、遠投性能にも優れます。
ジグヘッドリグ:障害物が少ない完全な砂地を狙う場合に適しています。
魚が食いついた際のフッキング(針掛かり)率が高いのがメリットです。
フック(針)の選び方:カレイはおちょぼ口で吸い込むようにエサを食べます。
小さな口でも入りやすい細身の「ナローゲイプのオフセットフック」や、エサ釣り用のルアー対応「カレイ針」を使用するのがフッキング成功の鍵です。
釣果を分ける!ワーム(ルアー)の選び方
カレイは視力があまり良くない一方で、嗅覚が非常に優れています。
そのため、ルアー(ワーム)選びが釣果を直結します。
「匂い付き(汁物系)」が最強:水中で味と匂いの成分が拡散するワームが圧倒的な実績を誇ります。
「バークレイ ガルプ!」や「エコギア 熟成アクア」などのシリーズは、本物の生エサ以上にカレイを狂わせる強力なアイテムです。
形状とサイズ:ゴカイなどの多毛類を模した細長い「ストレート系(ピンテール)」を基本に、エビやカニなどを捕食している時は「ホッグ系・クロー系」も使います。
サイズは2〜3インチの小型をメインに使いましょう。
バークレー SWパルスワーム
波動で魚を寄せるパルスワーム。カレイのルアー釣り(カレイング)にも有効。
浜名湖でカレイングするなら!おすすめポイント
遠投性能とボトム感知能力を活かせる、ルアータックルならではの浜名湖のおすすめポイントをご紹介します。
1. 浜名湖レークサイドウェイ&佐久城跡
ルアーで60m以上遠投すると、急な深場(ブレイク)に届きます。
キャスティングしやすいルアータックルだからこその「大遠投して丁寧に探る」攻め方ができるポイントです。
11月〜1月頃がハイシーズンで、ブレイクラインを丁寧に探ると30cm超えのマコガレイに出会えることがあります。


2. 網干場(あみほしば)
広範囲が水深5〜7mの砂地になっており、カレイが溜まる一級ポイントです。
とにかくぶん投げて、広範囲をじっくりと探ってカレイの居場所を見つけます。
流れが速い時は、ドリフトさせて地形を転がすように待つのも有効です。

3. 浜名湖ガーデンパーク周辺
ウェーディング(立ち込み)できる砂浜の先に、船が通るための「航路(ミオ筋)」があります。
この航路の駆け上がり(ブレイクライン)をピンポイントで丁寧に探る釣りが強力です。

4. サクラマル周辺
新幹線鉄橋付近にある通称「サクラマル」。
島の両サイドにあるミオ筋の深場を攻略します。
砂地と強い流れが絡むため、カレイだけでなく、運が良ければヒラメやマゴチがヒットすることも多い魅力的なエリアです。

季節別カレイング攻略
冬(12〜2月):水温が低い最盛期で、ミオ筋の深場(水深4〜7m)にカレイが集中します。
アクションはゆっくり目で、ステイ時間を長めに取るのが有効です。
春(3〜4月・花見カレイ):産卵後の「荒食い」でアクティブに動き回るカレイをブレイクラインで狙います。
ズル引きのスピードをやや速めにして、広範囲をアクティブに探りましょう。
秋(10〜11月):冬に備えて体力をつけようとするカレイが活発に動く時期です。
カケ上がり付近の中深度帯(水深2〜4m)が狙い目で、投げサビキと組み合わせて探る方法も有効です。
まとめ:待ちの概念を壊してアグレッシブに!
エサ釣りとは一味違う、ルアーで能動的に狙って釣る「カレイング」。
強烈なアタリとトルクフルなボトムへの突っ込みは、一度味わうと病みつきになります。
手持ちのシーバス・エギングタックルにワームを忍ばせて、ぜひ冬の浜名湖で新感覚のフラットゲームに挑戦してみてください。
Tip
ガルプ!ワームは「汁ごと使う」が鉄則! バークレイ ガルプ!などの「汁物系」ワームは、容器に入っている液体(マリネ液)に浸けた状態で保管し、使う直前に液ごと持参するのが効果を最大化する使い方です。 乾燥すると匂い成分が揮発してしまうため、釣り場ではワームを出したらすぐにリグに装着して水中に入れましょう。 匂いが残る限り、エサ釣りに近い誘引力をキープできます。
マナーについて:カレイングで使用するフリーリグ・テキサスリグのシンカーやラインは、ミオ筋の底に残りやすいゴミになります。根がかりで切れた仕掛けは回収できる時は必ず回収し、釣り場のクリーンアップにも協力しましょう。また、冬のカレイングは防寒対策を万全に。低体温症は気温が高くても起こりうるため、ウインドブレーカーと防水性の手袋は必須装備です。