「釣!浜名湖」へようこそ!
ハゼ釣りには、釣りの原点があります。
延べ竿一本とイソメで始まるこの釣りが、私(さしし)の釣りキャリアのスタートでした。小型で非力な魚が針に乗る感触、エサを底で動かすと反応が来る体験は、「釣りとは何か」を体で覚える最良の入門になります。
そして浜名湖は、汽水域特有の豊かな生態系により「日本有数のハゼの魚影」を誇ります。お子様連れのファミリーフィッシングから、1ミリの感触を掛け合わせるトーナメント志向のベテランまで、これほど幅広い層を熱狂させる魚は他にいません。
この記事は、浜名湖のハゼ釣りに必要な知識を一本にまとめた「教科書」です。生態、シーズン、ポイント(駐車場・トイレ付き)、釣法と仕掛け、釣れない原因、そして秋の大型「落ちハゼ」まで、順番に読めば全体像がつかめます。
結論|浜名湖のハゼ釣りは「いつ・どこで・何で」
先に結論を整理します。
- いつ:6月から11月。出来ハゼは6月ごろから、最盛期は8〜10月、10月後半〜11月は大型の「落ちハゼ」。12月以降は深場に落ちて難しくなる
- どこで:都田川河口(数・型とも最高)、平松町(束釣り向き)、新川河口(落ちハゼの大型)、三ヶ日駅前(ファミリー向き)の4か所が軸
- 何で:数釣りはのべ竿のミャク釣り、型狙いと秋はチョイ投げ、遊び方を変えるならハゼクラ。エサは石ゴカイやイソメ
- 駐車場:都田川は専用駐車場なし(気賀関所周辺の公共駐車場を利用)、平松は数台分、新川は雄踏総合公園(1回310円)、三ヶ日駅は約15台(無料)。いずれも路上駐車は厳禁
はじめてのハゼ釣りなら、まずは入門記事で道具と手順を確認するのがおすすめです。

第1章|ハゼの生態と、浜名湖で釣れる理由
マハゼの習性
マハゼ(学名:Acanthogobius flavimanus)は、汽水域を代表する底生魚です。砂泥底を好み、小型甲殻類・多毛類(ゴカイ)・小魚の稚魚など幅広い生物を食べる雑食性で、塩分濃度の変化にも強く、淡水域から海水域まで広範囲に生息できます。
この雑食性が「石ゴカイでなくても釣れる」現象の根拠であり、エサ選びに神経質になる必要がない理由でもあります。
成魚のサイズは10〜25cm程度。産卵は秋〜冬に深場で行われ、その後に多くの個体が死ぬ「一年魚」です。秋に大型が増えるのは、産卵前に栄養を蓄えるため。これが「落ちハゼ」の大型化の理由になっています。
浜名湖での分布
浜名湖では今切口から奥浜名湖まで全域に分布し、特に泥砂地の河口・干潟に高密度で生息しています。都田川・新川・神ノ川など流入河川の河口部を中心に、塩分濃度が低い奥浜名湖でも安定して釣れます。
ハゼの魚影が圧倒的な理由は、汽水域の豊かな底生生物です。泥底に生息するゴカイ・イソメ・ヨコエビ・小型甲殻類など、エサとなる生物が極めて豊富だからです。
「カケアガリ」と「ヨレ」に集まる
ハゼは完全な底生魚ですが、平坦な砂地にいるわけではありません。浅場から深場へのカケアガリ(斜面)や、潮の流れが変化する「ヨレ」の際に集まります。餌となる小動物が流れに運ばれて溜まりやすいためです。
良いハゼ釣り場の3条件
新しいポイントを探すときは、次の3つを確認します。
- 淡水(川)の流入がある:ハゼは純海水よりも汽水を好みます。川の流入口・運河の端・港の奥など、淡水の影響がある場所は密度が高い傾向があります
- 底が「砂」または「泥」:岩礁や石畳、泥底では基本的に釣れません。靴で底を踏んだときに沈み込む柔らかい砂泥底なら、エサとなる小生物が豊富です
- 潮があまり速すぎない:仕掛けがゆっくり沈む穏やかな場所が釣りやすく、特にファミリー釣りに向きます。潮が速くなる場所は、潮止まりに合わせるか、少し奥まった場所に移りましょう
第2章|いつ釣れる?年間シーズナリティ
ハゼ(マハゼ) の釣果傾向
月別の期待度(1月〜12月)
月別ガイド(水温・サイズ・狙い方の目安)
| 時期 | 水温の目安 | サイズの目安 | 居場所 | 狙い方 |
|---|---|---|---|---|
| 6〜7月 | 18℃前後から接岸が始まる | 小型の出来ハゼ(奥浜名湖では3〜6cmほどの個体も) | 水深0.5〜2mの浅い砂泥地 | のべ竿のミャク釣り、ちょい投げ |
| 8〜9月 | 23℃を超えると最盛期 | 10〜15cm。9月からサイズアップ | シャローフラット全域 | のべ竿・ちょい投げ。20℃前後はハゼクラの反応が良い |
| 10〜11月 | 水温の低下とともに深場へ(落ちハゼ) | 15〜20cm近い大型 | 水深2〜5mの砂泥地、ミオ筋のカケアガリ | ちょい投げで型狙い |
| 12月以降 | 15℃以下で浅場から姿を消す | — | 5m以深のミオ筋 | 12月は深場の落ちハゼ。1〜3月は基本的にオフ |
水温は、18℃で接岸が始まり、23℃を超えると最盛期、15℃以下で浅場から姿を消す、と覚えておくと判断しやすくなります。1時間に20〜30匹という釣果も珍しくないのは9〜10月です。
秋は奥浜名湖から表浜名湖へ
秋が深まると、奥浜名湖の河川周辺では魚が減り、表浜名湖(JR鉄橋より南)に魚が集まってくると、地元の釣具店も案内しています。11月以降は、新川河口や網干場周辺など表浜名湖側に移るのが定石です。詳しくは第8章の落ちハゼ攻略をご覧ください。
第3章|どこで釣る?ポイントと駐車場
浜名湖ハゼ釣り「四天王」ポイント比較
「都田川」「新川」「平松(庄内湖)」「三ヶ日」——同じハゼ釣りでも、この4エリアは足場・車横付け・本命の時期がまったく違います。まずは比較表で「今日の自分に合うポイント」を絞り込んでください。
| ポイント | エリア | 車横付け | 足場 | 本命(月) | このポイントだけの強み |
|---|---|---|---|---|---|
| 都田川河口 | 奥浜名湖 | △(明確な駐車場なし・マナー注意) | 泥干潟のカケアガリ | 6〜10月 | 数・型ともに浜名湖最高の魚影。聖地の名に恥じない安定感 |
| 平松町(庄内湖) | 奥浜名湖 | ○(児童遊園地に数台) | 遠浅の砂地 | 6〜9月 | 「束釣り(100匹超)」を狙うならここが最短ルート |
| 新川河口(雄踏) | 表浜名湖 | ◎(雄踏総合公園310円/回) | 護岸・ミオ筋 | 10〜11月 | 浜名湖・新川のハゼ釣りは落ちハゼの大型が濃い。ハゼ→マゴチ泳がせの二段構え |
| 三ヶ日駅前(猪鼻湖) | 奥浜名湖 | ○(駅周辺に一部あり) | 護岸沿い | 通年 | 駅から徒歩0分。日中でも安定してアタリが出るレジャー向き |
駐車場・トイレ・コンビニ早見表
ハゼ釣りは早朝から家族連れで出かけることが多く、駐車場とトイレが釣行の成否を左右します。各ポイント記事で現地確認した情報をまとめました。
| ポイント | 駐車場 | 料金・台数 | トイレ | 近くのコンビニ |
|---|---|---|---|---|
| 都田川河口 | 専用駐車場なし。気賀関所周辺の公共駐車場やコインパーキングを利用 | 周辺施設と共用 | あり | セブンイレブン 細江気賀店 |
| 平松町(庄内湖) | 児童遊園地の隣に数台分のスペース | 数台のみ(地域のご厚意のスペース) | 周辺になし | ファミリーマート 浜松庄和町店 |
| 新川河口(雄踏) | 雄踏総合公園駐車場(河口まで徒歩5〜10分) | 1回310円・約50台 | 雄踏総合公園内にあり | あり |
| 三ヶ日駅前(猪鼻湖) | 三ヶ日駅の利用者駐車場または近隣の指定スペース | 無料・約15台 | 駅舎内にあり | セブン-イレブン 三ヶ日西天王町店 |
どのポイントも、路上駐車は地元の方の迷惑になり、釣り場が閉鎖される最大の原因です。駐車できないときは、潔く別のポイントに回りましょう。
都田川河口(みやこだがわ):ハゼの聖地
浜名湖で最も有名なポイントです。天竜浜名湖鉄道「気賀駅」から徒歩圏内で、広大な河口域全体がハゼの住処となっています。「浜名湖 ハゼ釣り ポイント」で真っ先に名前が挙がるのがこの都田川で、初心者の束釣りから型狙いまで一本で完結する懐の深さが魅力です。
私は毎年夏、子どもと一緒に都田川でハゼ釣りをするのが恒例になっています。子どもが釣った初めての魚がハゼだったとき、その小さな引きに大喜びした顔は忘れられません。
- 特徴:浜名湖最大の流入河川で、広大な汽水域と干潟が広がり、ハゼの産卵・成長に理想的な環境。泥砂地のカケアガリにハゼが凝縮する
- 攻略:手前はのべ竿(水深10〜60cmの超浅場でも釣れます)、沖のミオ筋はチョイ投げで
- シーズン:7〜11月が最盛期。9〜10月は20cm超の「大ハゼ」が釣れ始める
- 注意:専用駐車場がないため、周辺の路上駐車マナーには十分配慮してください。夏の週末は混雑するので早めの到着がおすすめです

平松町(ひらまつ):庄内湖のパラダイス
庄内湖の東岸に位置する平松エリアは、波が穏やかで遠浅の地形が続いています。
- 特徴:圧倒的な個体数。100匹超えの「束釣り」が最も狙いやすい場所
- 攻略:のべ竿での「ミャク釣り」が手返し良く最強

新川河口(しんかわ):落ちハゼの溜まり場
雄踏(ゆうとう)エリアにある新川の注ぎ込み。秋深くなると、外洋へ向かう大型の「落ちハゼ」が一時的に滞留します。浜名湖で新川のハゼ釣りを狙うなら、雄踏総合公園(駐車310円/回)を拠点にした澱橋周辺の護岸が本命で、都田川・平松ほど混雑しないぶん、じっくり型を選べるのが強みです。
- 特徴:サイズが良く、20cmクラスも期待できる。周辺の小水路が餌場になっていてストック量も多い
- 攻略:護岸から3〜10mの近距離を、ミャク釣り(ウキなし)で底の感触を感じながら探る。6〜11月まで楽しめ、夏は数釣り、秋は型狙い
- ひと工夫:ハゼを釣って、そのまま「マゴチの泳がせ釣り」に繋げるのがエキスパート流

三ヶ日駅前(猪鼻湖):のんびりレジャー派
猪鼻湖(いのはなこ)の北に位置する三ヶ日。駅の目の前が即ポイントという、利便性抜群のエリアです。
- 特徴:水深が安定しており、日中でもハゼが寄っている。奥浜名湖の中でも波が穏やかで、初心者でも安心
- 攻略:護岸沿いを探るだけで、飽きない程度にアタリがあります

奥浜名湖は「ミオ筋」を意識する
奥浜名湖は全体的に水深が浅く、干潮時には水が引いて歩けるほどになる場所も多い湖域です。そんな中で、ハゼが季節を通じて居続ける場所が「ミオ筋(船の通り道となる深い溝)」です。
ミオ筋は水深が周囲より深く、水温変化が少なく、水の流れが適度にあるため酸素量が豊富です。また、ミオ筋の駆け上がり(浅場から深場へ落ちる斜面)には、ハゼが好む砂泥底と、その砂に潜む小さなエビ・ゴカイ類が多く生息します。ミオ筋のブレイク(段差)を丁寧に探ることが、奥浜名湖のハゼ数釣りのキモです。
出発前には次の点を確認してください。
- 潮汐表:奥浜名湖は表浜名湖より潮の引きが約3時間遅れます。干潮時は水がなくなる場所も多いため、満潮前後を狙うのがベストです
- エサの確保:奥浜名湖周辺は釣具店が少ないため、ジャリメまたは赤イソメを事前に購入してから向かいましょう
- 暑さ・虫対策:夏〜秋は蚊が多く日差しも強いので、虫よけと帽子、飲み物は必携です
そのほかの実績ポイント
- 鷲津港・乙女園周辺(西浜名湖):底が均一な砂地で根がかりが少なく、アマモも生えてベイトが豊富。ハゼクラのメッカとして注目されています。8〜10月がルアー・エサ釣りともにベスト
- 表浜名湖・網干場周辺:今切口に近く水深があり、11月以降に20〜25cmの大型の落ちハゼが集まります(第8章で詳しく解説)
- 小水路・水路(穴場):農業排水や雨水排水が流れ込む小水路は、ハゼの幼魚が育つ重要な環境です。夏〜秋は豆ハゼの数釣りが楽しめ、短い延べ竿(2〜3m)でキワを探るだけ。人が少なく、子どもが川の生き物を観察しながら釣りができます


第4章|どうやって釣る?釣法の選び方
ハゼ釣りの釣法は、目的(数釣りか型釣りか)とシーズンから逆算します。
のべ竿「ミャク釣り」の極意
リールを使わない3.6m〜4.5mののべ竿による釣りです。アタリがダイレクトに伝わり、手返しが非常に早いのが最大のメリットで、道具が少なく持ち運びも楽、子どもの釣り入門に最適です。
コツはオモリを底に着けたまま、仕掛けを数センチ浮かせて「トントン」と誘うことです。底を叩くことで砂煙が立ち、ハゼの注意を引きます。アタリは穂先に「クン」という明確な振動で伝わります。合わせは小さく素早く入れてください。
エサは石ゴカイを小さく切って使います。ハゼはエサの大きさに敏感で、大きすぎるとくわえるだけで飲み込みません。針先に少量のエサが付いている程度で十分です。
チョイ投げ釣り:型と秋を射抜く
スピニングタックルで10〜30mキャストし、底を引いてくるスタイルです。日中の警戒心の高い魚や、秋の深場のハゼを狙えます。天秤オモリに2〜3本針の仕掛けで広範囲を探れるため、延べ竿より効率良く数を伸ばせます。
コツはゆっくりズル引きです。底を引きずって砂煙を上げ、止める→ゆっくり引く→止める、のリズムを作ります。アタリが出てもすぐに合わせず、竿先が引き込まれるまで待ってから合わせてください。多点掛け(鈴なり)を狙う場合は、「追い食い」の間を作るためにアタリが出ても少し待ちます。
ダイワ リバティクラブ ショートスイング 10号-330・N
ハゼのちょい投げ釣りに最適なオモリ負荷10号前後の柔らかい投げ竿。
ハゼクラ(クランクベイト):ルアー派の革命
小型のクランクベイトをボトムに当てながら巻き、ハゼの視覚と縄張り意識を刺激して食わせるルアーゲームです。エサで手が汚れず、虫エサが苦手な方にも向いています。浜名湖は発祥地の一つとされ、条件は「透明度のある浅い砂地」と「澄み潮」。雨後や強風後の濁った日は反応が落ちます。
コツはクランクを底に当て続け、「砂を巻き上げる」動きを維持することです。リトリーブは「底から離れない速度」が正解で、速すぎると底が取れず、遅すぎるとルアーが止まります。
道具の選び方、アクション、サイトフィッシングの技術は、専用の記事で詳しく解説しています。

第5章|仕掛けとエサの目安
浜名湖のハゼ釣りは道具が少なくて済みます。当サイトの経験と、地元の釣具店や他の解説記事で共通して案内されている数値を、目安としてまとめました。
| 釣り方 | 竿・リール | 仕掛けの目安 |
|---|---|---|
| のべ竿のミャク釣り | 3.6〜4.5mののべ竿 | 玉ウキ仕掛け(ガン玉だけの簡単な構成でも可)。ハゼ針は4〜6号(小型の多い6月〜7月前半は小さめ) |
| チョイ投げ | 2〜3m前後の竿に2000〜2500番のスピニングリール | 天秤オモリ3〜8号(流れが緩ければ軽め)に2本針の短めの仕掛け。ハゼ針は6〜7号 |
| 落ちハゼ(深場・中通し) | 磯竿またはチョイ投げ竿の2〜3号、3〜4.5m | 中通しオモリ5〜10号、ハリス15〜20cm、袖針4〜5号(第8章で解説) |
| ハゼクラ | 専用の軽いロッドとリール | 小型クランクベイト(専用記事で解説) |
エサは、状況に合わせて使い分けると釣果が安定します。
| エサ | 向く場面 |
|---|---|
| 石ゴカイ(ジャリメ・赤イソメ) | 定番。小さく切って針先に少量付ける。小型の多い時期や食い渋りに |
| アオイソメ | チョイ投げや型狙い。投げても外れにくく、大きめを房掛けにしてボリュームを出せる |
| ゴールドイソメ | アピール力が強く、数釣りモードの時に効果的 |
| ボイルホタテ | 虫エサが苦手な方向け。食いは劣るがアタリがあれば十分に釣れる |
エサは針から1cm前後垂らすのが基本で、大きすぎると針掛かりが悪くなります。ハゼは雑食性なので、エサの種類よりも鮮度とサイズ感のほうが重要です。
実績タックル
「浜名湖での再現性」を基準に、釣法ごとに整理しました。
デュエル カーボナイロンライン CN500 2号
コストパフォーマンスに優れたカーボナイロンライン。メインラインとして気兼ねなく使える500m巻き。
ささめ針 ちょいハゼセット 9号
投げ釣りに必要なオモリや仕掛けが揃ったセット。9号は良型ハゼ狙いや少し流れがある場所に。
マルキュー パワーイソメ (中) 茶イソメ
活き餌が苦手な方でも安心して使える疑似餌。エサ持ちが良く、ハゼの食い気の高い時に活躍する。
サンカ ワンブッシュで開閉できるクーラー 6BL
低価格でコストパフォーマンスに優れた小型クーラーボックス。ちょい投げ釣りやハゼ釣りなどのライトゲームに。
第6章|時合:時間帯・潮・水温・底質
時間帯
ハゼは日中でも活発に釣れる昼行性です。朝マズメ(日の出前後の1〜2時間)が最もアタリが多く、午前中と夕方がそれに続きます。夏の強い日差しの日中(11〜14時)は活性が一時的に落ちますが、曇りの日は日中でも活性が安定します。夏の早朝は気温も涼しく、子どもと一緒に気持ちよく釣りを楽しめる時間帯でもあります。
潮汐とハゼの位置
- 満潮前後:潮が浅場に入り込み、普段は浅すぎる場所にもハゼが差してきます。延べ竿の足元が好調になり、満潮前後の2〜3時間が最も効率よく釣れます
- 干潮時:浅場が干上がり、ハゼが深場へ後退します。チョイ投げで沖を狙う距離を増やします
- 下げ潮の流れ:河口部では流れが出ます。流れの弱い脇や反転流に仕掛けを入れましょう
底質が全ての前提
ハゼは砂泥地の底に生息します。「コツコツした底の感触」があるかどうかが最初の判断基準です。泥底でも石畳でもない、砂が混じった柔らかい底を探してください。
第7章|なぜ釣れないのか
魚のせい(受け入れる要素)
季節・場所の条件:ハゼはどこでも釣れるわけではありません。岩場・石畳・泥底では基本的に釣れず、砂泥地の河口付近を選ぶことが大前提です。季節も5月以前・12月以降はほぼ期待できません。
水温急変:梅雨の大雨後に水温が急低下すると、ハゼが底に潜って活性が落ちます。翌日以降の回復を待つほうが効率的です。
釣り人のせい(改善できる要素)
エサを底に届かせていない(最多の失敗):ハゼは底にいる魚です。ウキ下が深すぎる・浅すぎる、あるいはチョイ投げでオモリが砂底に乗っていない状態では釣れません。ウキ釣りなら「ウキが立って少し斜めになる」程度のタナが目安。チョイ投げなら、着底後の糸ふけを取ってから引き始めます。エサを底に届かせることだけ徹底すれば、道具はシンプルなものでかまいません。「底に置いて動かす」が、すべての釣法に共通する唯一の正解です。
エサへの過信と思い込み:「石ゴカイでないと釣れない」は誤解で、ハゼは雑食性。オキアミ・竹輪・ホタテの貝柱でも釣れた実績があります。石ゴカイなら1〜2cm程度に短く切り、針先をしっかり出します。
数釣りで場所を変えない:ハゼは群れで動きます。同じポイントを長時間攻めても、群れが去ったあとは釣れません。引き釣りで歩き回り、アタリが出た場所で粘り、止まったら移動する。これを繰り返すことが数を伸ばす基本です。
ハゼクラで反応が出ない条件:「澄み潮の砂地」が必要です。雨後・強風後の濁りが入った日は機能しません。クランクが大きすぎても食いが悪くなります。
第8章|秋の本命:「落ちハゼ」攻略
私が落ちハゼ釣りの醍醐味を知ったのは、11月中旬の網干場での一日でした。夏の浅場でハゼクラを楽しんでいた頃とはうって変わり、竿は磯竿、仕掛けは中通しオモリ、エサはアオイソメの房掛け。20mほど沖のミオ筋の底へ仕掛けを沈めて待っていると、「コツン」という鈍い重みが手元に伝わりました。聞き合わせを入れた瞬間にズシリとした引きが走り、上がってきたのは22cmの脂ののったジャンボハゼでした。
なぜハゼは深場へ「落ちる」のか
ハゼは1年で一生を終える「一年魚」です。春に産まれた稚魚が夏の浅場で急成長し、秋には産卵のために深場へ移動する——これが落ちハゼの正体です。水温が20℃を下回る10月下旬ごろから、浅場(水深1m以下)から徐々に深い場所へ移動を始めます。
浜名湖では、船の通り道であるミオ筋の深い場所(水深3〜5m)にハゼが密集します。水温変化が少なく、冬を前にしたハゼにとって格好の棲み処だからです。ミオ筋の底質が泥から砂へ変わる場所や、カキ殻が点在する場所が絶好の溜まり場。「落ちハゼはミオ筋を探せ」が最重要の法則です。
タックルと「中通しオモリ」仕掛け
夏のハゼクラとは異なり、深場・遠投を前提としたタックルが必要です。
- ロッド:磯竿またはチョイ投げ竿の2〜3号、3〜4.5m。遠投性能と感度を両立するため、ガイドの多い磯竿タイプが使いやすい
- リール:2000〜3000番のスピニングリール。ラインはナイロン2〜3号で、強い流れにも対応できる強度を確保
- 仕掛け:中通しオモリ5〜10号+ハリス15〜20cm+袖針4〜5号が基本。天秤仕掛けより感度が高く、深場で居食いする落ちハゼのわずかな違和感も逃しません
- オモリの使い分け:潮が速い時は重め(10号前後)、緩い時は軽め(5〜6号)。ハリスは少し長めに取り、エサを自然に漂わせます
仕掛けを底に着けたら、ゆっくりズル引きしながら「コツン」というアタリを待ちます。投入後すぐに動かさず、30〜60秒ほど静止させてから聞き合わせを入れると、居食いしているハゼを乗せやすくなります。
荒食いに対応するエサのつけ方
冬を控えたハゼは「荒食い」の状態です。エサは鮮度の高いアオイソメを使い、大きめを1匹丸ごと、または数本まとめて「房掛け」にしてボリュームを出します。針の根元まで刺し込んだら、尾側を3〜5cm余らせてタラしにすると、クネクネ動いてハゼを強く引き寄せます。
落ちハゼは匂いにも敏感です。エサが古くなると反応が落ちるので、15〜20分ごとに交換しましょう。針からわずかに垂らして動かすと、砂底を歩いているハゼへのアピールが増します。
時間帯と潮
落ちハゼ釣りは、時間帯よりも「潮の動き」が釣果に効きます。
- 上げ潮:沖から岸方向にベイトが運ばれ、ハゼの活性が上がります。満潮の1〜2時間前が時合になりやすい
- 下げ潮:ハゼがさらに深い場所へ落ちる傾向があり、遠投が必要になりますが、大型が集中するミオ筋の深部を狙えます
- 朝マズメ:11月後半以降は「朝マズメ×上げ潮」の組み合わせが最強です
微かなアタリを掛ける「聞き合わせ」
11月のハゼは、夏のような派手なアタリではなく、居食いのような小さなアタリが増えます。竿先をスッと数センチ持ち上げる聞き合わせを行い、違和感があればそのまましっかり針を掛けます。置き竿より、手持ちで定期的に聞き合わせるスタイルのほうがアタリを逃しません。
「コツン」という単発のアタリは口に触れた感触。その後に続く「ジーッ」という糸の引きや「グーッ」という重みが本アタリのサインです。本アタリが出たら、竿を手前上方に15〜20cm動かす「スイープアワセ」でフッキングします。
落ちハゼが溜まる深場3選
- 網干場:「1番ミオ」と呼ばれる巨大な深場に隣接し、落ちハゼ狙いでは最強の呼び声が高いポイント。堤防の先端から沖へチョイ投げすると、ミオ筋の斜面に仕掛けが乗り、20cm超が連続ヒットすることもあります
- 都田川河口・気賀エリア:奥浜名湖の主要河川の深みに、多くの落ちハゼが溜まります
- 猪鼻湖の入り口(瀬戸水道周辺):湖の内側から外へ抜けるハゼの「関所」のような場所。水深があり潮通しが良く、落ちハゼの通過ルートになっています。橋脚の際は特に溜まりやすく、竿下を丁寧に探ると効果的です


天ぷらは「落ちハゼ」が最高峰です。秋に深場へ落ちたハゼは、冬越しに備えて体に脂を蓄えています。釣れたらすぐに締めて氷水に入れ、鮮度を保って持ち帰りましょう。
釣ったあとは:天ぷらから甘露煮まで
ハゼは「天ぷらの王様」。大型は塩焼き、小型は丸ごと唐揚げ、数が多い日は甘露煮や焼き干しと、釣った分を無駄なく楽しめます。下処理(塩もみ・背開き)やレシピは、入門記事にまとめています。

まとめ:ハゼ釣りから広がる浜名湖の魅力
浜名湖のハゼ釣りは、単なるレジャーの枠を超えた、この湖の豊かさを象徴する文化です。一匹のハゼがもたらす「プルプルッ!」という心地よい振動、その一瞬に集中する時間は、大人にとっても子供にとっても、かけがえのない宝物になります。
- 6月ごろから接岸、8〜10月が最盛期、10月後半〜11月は大型の落ちハゼ
- 春〜夏は浅場ののべ竿ミャク釣りで数釣り。エサは石ゴカイを小さく切って使う
- 秋の「落ちハゼ」はミオ筋のカケアガリを狙う。チョイ投げ・中通し仕掛けでサイズアップ
- 「底に置いて動かす」がすべての釣法に共通する正解。エサを底に届かせる
- 都田川河口・庄内湖平松が浜名湖最高の魚影。ファミリー釣行の第一候補
- 「束釣り(100匹超)」を目指すなら平松のミャク釣りが最短ルート
- 駐車場は各ポイントのルールを守り、路上駐車は厳禁
今年のシーズンは、ぜひ「聖地・都田川」や「庄内湖・平松」で、浜名湖のハゼの熱気を肌で感じてみてください。
Important
ハゼが釣れる浅瀬にはアカエイが生息しています。必ずすり足(シャッフル歩行)で歩いてください。ハゼに混じってゴンズイや毒のある魚が釣れることがあります。素手で触らず、メゴチバサミを常備しましょう。10cm以下の小型は速やかにリリースし、ゴミは100%持ち帰りをお願いします。河口付近では、増水・強風時の急な水位上昇にも注意し、子ども連れの場合はライフジャケットを着用してください。
よくある質問
Q. 浜名湖のハゼ釣りはいつからいつまで?出来ハゼは6月ごろから釣れ始め、8〜10月が最盛期、10月後半〜11月は大型の落ちハゼのシーズンです。12月は深場で狙えますが、1〜3月は基本的にオフです。
Q. ハゼ釣りの駐車場はありますか?ポイントによって違います。都田川河口は専用駐車場がなく、気賀関所周辺の公共駐車場などを利用します。新川河口は雄踏総合公園駐車場(1回310円・約50台)、三ヶ日駅前は駅の利用者駐車場(約15台・無料)、平松町は数台分のスペースです。詳しくは「駐車場・トイレ・コンビニ早見表」をご覧ください。
Q. 初心者や子ども連れにおすすめのポイントは?足場がよく駅から徒歩0分の三ヶ日駅前や、遠浅で穏やかな平松町が向いています。道具や釣り方は入門記事で詳しく解説しています。
Q. 釣ったハゼのサイズや持ち帰りの目安は?10cm以下の小型は速やかにリリースし、食べる分だけを持ち帰ります。
目的別|ハゼ釣り記事ガイド
ハゼ釣りの記事は、この教科書を軸に3本に整理しています。
| 知りたいこと | 記事 |
|---|---|
| 生態・シーズン・ポイント・釣法・落ちハゼ(全体像) | この記事(教科書) |
| はじめてのハゼ釣り(道具・手順)と、釣ったハゼの料理 | 浜名湖ハゼ釣り入門 |
| ルアーでハゼを釣る(ハゼクラ)のタックル・アクション | ハゼクラ入門 |
ポイントごとの詳しい情報は、各ポイント記事をご覧ください。
