私(さしし)が「浦安釣法」の存在を知ったのは、10月の渚園前でのことでした。
その日は一般的なウキカゴ仕掛けを使ってサヨリを狙っていましたが、なかなか思うような釣果が出ずにいました。
隣で釣っていたベテランアングラーが、仕掛けをフルキャストした後にリールをゆっくりと巻き続けているのを見て、「なぜ巻くんですか?」と声をかけました。
「浦安釣法という引き釣りですよ。サヨリが沖にいる時は、こちらが仕掛けを動かして追わせるんです」と教えてくれました。
半信半疑で真似してみると、仕掛けをゆっくり巻き続けて2〜3分後に「コン!」というアタリと同時にサヨリが掛かりました。
それも、今まで釣っていたサヨリより一回り大きい30cm級のサヨリです。
「待つのではなく、攻める釣りがあるんだ」と衝撃を受けた一日でした。
浜名湖のサヨリ釣りには、大きく分けて「待つ釣り」と「攻める釣り」の2つのスタイルがあります。
一般的なサヨリ釣りは前者で、ウキカゴを沖に投げて群れが回ってくるのを待ちます。
一方、浦安釣法は後者です。
遠投した仕掛けをゆっくりと引き続けることで、沖の群れを積極的に探し出し、サヨリの捕食スイッチを入れる「攻撃的なスタイル」です。
浦安釣法とは:「待ち」から「攻め」への革命
浦安釣法とは、工房浦安の創業者である友常忠男氏が1994年頃に確立した、独自のサヨリ釣法です。
それまでのサヨリ釣りの常識は「ウキカゴを投げ込んでコマセを撒き、群れが回ってくるのを待つ」というものでした。
友常氏はこれに革命をもたらします。
「仕掛けをゆっくりと巻いて、サヨリを追わせる」というスローリトリーブの概念を導入し、待つのではなく積極的に魚の動きを引き出すスタイルを確立しました。
誘い出す力:移動する仕掛けはサヨリの好奇心と競争心を刺激します。
「今食わないと逃げてしまう」と感じたサヨリが本能的にバイトします。
レンジキープの精度:引き続けることで仕掛けが水面直下を一定の深さでトレースできます。
サヨリが泳ぐ層(表層直下1〜30cm程度)に仕掛けをキープしやすいのです。
アタリのダイレクト感:常にラインを張っているため、繊細なサヨリのアタリを即座に手元で感知できます。
「待ち」の釣りよりアタリの数が分かりやすく、初心者でも合わせのタイミングが取りやすい特徴があります。
浦安釣法を支える「専用仕掛け」
浦安釣法の本領を発揮するためには、引き釣りに特化した専用仕掛けが不可欠です。
一般的なウキカゴでスローリトリーブをしても、抵抗が大きすぎて正確な操作ができません。
SS-II EXの特徴:工房浦安が開発したSS-II EXは、スローリトリーブに最適化された専用のウキカゴです。
特殊な形状が空気抵抗と水中抵抗のバランスを計算されており、巻き続けてもサヨリに違和感を与えない速度でエサを運べます。
工房浦安 スーパーサヨリン2EX 夜光 M 黄プロペラ
浦安釣法の核心。抜群の遠投性能と安定した飛行姿勢で、はるか沖の潮目を回遊する大型サヨリを直撃。黄色のプロペラが誘い効果を高めます。
飛距離の優位性:専用形状による優れた空力特性により、向かい風でも安定した遠投性能を発揮します。
「一般的な仕掛けではあと10m届かない」という場所にいる群れを射抜けるのが、浦安釣法最大の武器です。
なぜ浜名湖で浦安釣法が有効なのか
浜名湖のフィールド特性と浦安釣法は非常に相性が良い組み合わせです。
広大な干潟と潮目の存在:浜名湖は干満の差が激しく、サヨリの群れは潮と共に刻一刻と移動します。
特に警戒心の強い大型サヨリ(サンマ級)は岸壁直近を避け、沖の潮目や流れの変化するポイントに溜まります。
一般的な仕掛けでは「あと10〜15m」届かない沖に、浦安釣法なら到達できます。
群れが薄い時の対処法:浜名湖では群れの密度が高い時間帯と低い時間帯の差が激しいです。
群れが薄い状況下では「待つ釣り」ではアタリが出にくいですが、浦安釣法で広範囲を移動してサヨリを探すことで釣果を稼げます。
手返しの速さ:サヨリの回遊は一時的なことが多く、群れが来た時にいかに効率よく釣るかが釣果を左右します。
巻いてすぐに回収できる浦安釣法は、次の投入までのサイクルが速く、時合を最大限に活かせます。
実践テクニック:スローリトリーブの極意
ステップ1:潮目を狙ってフルキャスト沖の潮目(水面の色が変わる境界線)やヨレ(流れが複雑になっている場所)を見つけ、そこに向けて仕掛けをフルキャストします。
潮目にはサヨリのエサとなるプランクトンが集まりやすく、サヨリの群れが溜まるポイントです。
ステップ2:着水直後からスローリトリーブを開始仕掛けが着水したら、即座にスローリトリーブを開始します。
リールを1秒間に1回転以下の「超デッドスロー」で巻くのが基本です。
「巻いているのかいないのか分からない」くらいの遅さが、サヨリに追わせる理想のスピードです。
ステップ3:ウキの動きとラインテンションを監視するウキが水中に引き込まれたり、突然軽くなったりする変化がアタリのサインです。
また、手元のラインテンションが急に変わった場合も即座に合わせを入れましょう。
ステップ4:コマセを補充しながら釣り続ける仕掛けを引いている間、カゴから少しずつコマセが出ていることが重要です。
コマセが尽きたら素早く回収して補充し、時合の間は手を止めずに釣り続けることが釣果を最大化するコツです。
オーナー(OWNER) 釣り日和 速攻サヨリ仕掛 3-0.8-2
コマセカゴが無いウキとシモリのみのタイプ。シモリウキで高感度、繊細なアタリを視覚化できます。浦安釣法の先糸システムにも有用。
季節と時間帯の選び方
最盛期(10月〜12月):サヨリが今切口から大量に入ってくる秋が最も実績の高い季節です。
「サヨリが見えているのに釣れない」という状況が起きやすい秋こそ、浦安釣法の真価が発揮されます。
春(3〜5月):春先もサヨリが戻ってくる季節です。
数は秋よりやや少ないですが大型が多く、浦安釣法の飛距離で遠くの群れを狙えます。
時間帯の選び方:サヨリは朝マヅメと夕マヅメに表層での活性が最も高まります。
特に上げ潮のタイミングと重なると、今切口から入ってきた新しい群れが一気に活性化します。
悪条件での対応:風が強い時は仕掛けが流されやすくなりますが、浦安釣法は常にラインを張っているため、風の影響を受けにくい利点があります。
ただし波が高い時は仕掛けの操作が難しくなるため、無理な釣行は避けましょう。
まとめ:浦安釣法で浜名湖サヨリをもっと楽しく
浦安釣法は、サヨリ釣りを「待つ」から「獲る」へと進化させた画期的な釣法です。
「見えているサヨリが釣れない」という壁に当たった時こそ、この釣法が効果を発揮します。
専用仕掛けと正確なスローリトリーブをマスターして、浜名湖の静かな水面を賑やかにしてください。
Tip
「潮目が消えたら場所を変えよ」 浦安釣法でスローリトリーブをしていると、潮目がはっきり見える時間帯とそうでない時間帯があります。 潮目が消えた(流れが均一になった)タイミングで急にアタリが止まった場合は、仕掛けを回収して別の潮目を探して投げ直しましょう。 「同じ場所で待ち続ける」という発想を捨て、「潮目を追い続ける」という積極的な姿勢が浦安釣法の本質です。
マナーについて:サヨリ釣りでは、コマセ(アミエビ)の臭いや汚れが堤防に残ることがあります。使用後は水で洗い流し、コマセの袋や使用済みの仕掛けは必ず持ち帰ってください。また、浦安釣法の遠投仕掛けは飛距離が大きいため、周囲の釣り人との間隔には十分注意しましょう。人が多い時間帯は必ず声かけを行い、キャスト方向を確認してから投入することが、トラブルを防ぐ最も重要なマナーです。

