カレイ釣りは「秋から冬の投げ釣り」というイメージが強いが、実は夏頃から十分に狙える。
涼しくなってきたと感じたくらいのタイミングでスタートするのが数釣りの最適解で、水温が下がるほどエサ取りが減り、カレイが食い気を出してくる。数を狙うなら早めの時期、サイズを狙うなら冬に航路をボートで狙うのが浜名湖カレイの基本戦略だ。
アタリが出てからじっくり待つ釣りのため、穂先を時々確認しながら別のことをするくらいの余裕で楽しめる。待てる人に向いている釣りだ。
この記事は投げ釣りの基本を知った上でカレイをより深く攻略したい経験者向けの専門リファレンスだ。

第1章|生態・習性・底生魚としての設計
カレイ(浜名湖の主力はマコガレイ)は砂泥底を好む底生魚だ。
両眼が体の上側に付いており、砂底に身を潜めながら上から降ってくる食べ物(多毛類・二枚貝・小型甲殻類)を待ち伏せる生活スタイルをとる。ヒラメと同じ底性だが、ヒラメが「捕食者」として積極的に泳ぎ回るのに対し、カレイは「待機型」だ。
浜名湖での分布
浜名湖のカレイは表浜名湖エリア(新居・弁天島周辺)の砂底帯と、今切口外の航路周辺砂底に多い。冬になると水温低下とともに深場(航路・沖合)へ移動して産卵し、春には産卵を終えた個体がエサを求めて浅場へ接岸する。
「座布団カレイ」(胴長40cm超の大型)は深場の航路周辺でボート釣りが最も現実的だ。陸っぱりでの大型狙いはほぼ運次第と考える方がいい。
両眼の構造とエサの位置
カレイは砂底に身を埋め、頭だけ出している状態でエサを待つ。エサは「砂底の少し上」に落ちてくる必要があり、仕掛けのウキ(遊動部)やエサが底からやや浮いた状態でカレイの視界に入ることが重要だ。エサが完全に砂に埋まると見えない。
第2章|年間シーズナリティ
| 時期 | 状態 | 狙い方 |
|---|---|---|
| 7〜9月(夏〜初秋) | 比較的浅場にいる。小型多め | 投げ釣りで数を稼ぐ最適期 |
| 10〜12月(秋〜冬) | サイズアップ。エサ取りが減少 | 型狙い。投点を遠くに伸ばす |
| 1〜2月(厳冬期) | 大型が深場に集中 | ボート釣り(航路・沖合)が有利 |
| 3〜5月(春) | 産卵後、エサを求めて浅場に接岸 | 春の花見カレイシーズン |
| 6月 | 活性低下 | オフシーズンに近い |
水温の目安:
- 20℃以下になる秋が実質的なスタート
- 15℃前後が最も安定して釣れる水温帯
- 10℃以下の冬は深場に移動するが、大型が残る
秋のカレイ:9月の開幕から11月の荒食いまで
浜名湖のカレイは、水温が落ち着く9月から接岸が始まり、11月に活性のピークを迎える。冬に向けて身が肥え、食味もよくなる時期だ。
9月(開幕期):水温がまだ高めなので、適度な水深があり、新鮮な海水が回る航路付近を狙うのが鉄則になる。実績のあるポイントは次の5か所だ。
- 網干場(舞阪港):今切口に隣接する回遊ルート。潮は速いが、上げ潮に乗って入る魚を待ち構えられる
- 浜名湖パークビレッジ付近(新居側):広いシャローと航路が絡む。30〜50m先のカケアガリが狙い目で、大型のキスも同時に狙える
- 弁天島海浜公園:アクセスがよく家族連れ向き。手前は浅いが、中央の航路付近にカレイが溜まりやすい。潮止まり前後が狙い目
- 村櫛海水浴場:広い砂地で、岸から少し離れた航路付近を探る。水温が下がるほど接岸数が増える
- 瀬戸水道:奥浜名湖と表浜名湖をつなぐ水深のある流れ。流下するエサを求めてカレイが定位しやすい





11月(荒食い期):北風が冷たくなると、産卵のために深場へ落ちる前の荒食いが始まり、活性が最高潮に達する。潮流が砂を緩やかに運ぶ平らな砂地とミオ筋が基本のポイントで、外海との出入り口に近い新居・舞阪周辺は大型が通る一等地、広い砂地が続く村櫛周辺は投げ釣りで広範囲を探りやすい。

エサは仕掛けを大きく見せるのが定石で、アオイソメ(またはイシゴカイ)を数匹まとめて針に刺す「房掛け」にする。長く垂らして潮でゆらゆら動かし、ときどき砂煙を上げるようにゆっくり引く「小突き」で誘う。市販のカレイ用2〜3本針仕掛けで足りる。派手なビーズ付きの仕掛けは、濁りがあるときに有効だ。
Tip
カレイは同サイズの個体が同じ場所に固まる。1枚釣れたら、同じコースに投げ直そう。再現性が高く、焦らず同じポイントを丁寧に探ると次のアタリが出やすい。

第3章|釣法選択とポイント逆算
投げ釣り
浜名湖カレイの基本スタイル。仕掛けを遠投して砂底に置き、アタリを待つ。
餌はイソメ(アオイソメ・岩イソメ)が定番で、長めにつけてひらひらさせることでカレイの注意を引く。仕掛けを時々「ズルズル」と少し引いて動かすことでアピールになる。ただし強く動かしすぎると根がかりするため、少し引いて止める→待つを繰り返す。
カレイの投げ釣りは、投点が近いと釣れない(第4章)。
沖の砂底まで仕掛けを届けるには、遠投できる本格的な投げ竿が要る。
振り出し式なら、持ち運びも楽だ。
仕掛けが空気抵抗で失速すると、せっかくの遠投が生きない。
遠投性能を重視した投げカレイ専用の仕掛けなら、狙った沖の投点まで届きやすい。
カレイング
カレイをルアー的なアプローチ(ワーム)で狙う比較的新しい釣り方。ジグヘッドにバークレー系の匂いのするワームを組み合わせ、底を這わせながらゆっくり引いてカレイにアピールする。
投げ釣りより手返しが早く、「カレイがいそうな底質を積極的に探る」楽しみ方ができる。
カレイングでは、底を這わせるワームの波動と匂いでカレイを寄せる。
波動で魚を寄せるパルスワームは、カレイング用のワームの候補になる。
バークレー SWパルスワーム
波動で魚を寄せるパルスワーム。カレイのルアー釣り(カレイング)にも有効。
詳細な攻略法:


第4章|なぜ釣れないのか
時期の問題(最も根本的)
「カレイが釣れない」の最多原因は「水温がまだ高い時期に来ている」ことだ。
9月初旬はまだ夏の水温が残っており、カレイが浅場に接岸していない場合がある。「秋から冬のターゲット」という認識は正しいが、実際には「水温が20℃以下になったタイミングをスタートの目安にする」という意識が必要だ。
涼しくなってきた、と感じる時期に釣行を始めればタイミングは合っている。
待てないことによる失敗
カレイは「エサをゆっくり食べる」魚で、アタリが出てから針に乗るまで時間がかかる。
「コツコツ」という前当たりでアワセると空振りする。重みが乗ってから、つまり穂先が明確に曲がってから合わせるか、待ちすぎと感じるくらい待ってから大きく合わせることが基本だ。何か他のことをしながら、たまに穂先を確認する、という余裕のある構えが実は一番釣れる。
エサ取りに悩まされる(時期が早いサイン)
夏〜初秋はカワハギやフグがエサを取ってカレイに届かないことがある。水温が下がり切れていない証拠で、エサ取りが多い日は時期が少し早い可能性がある。
水温が15℃前後になるとエサ取りが減り、カレイが主役になる。フグ・カワハギが減ったらカレイシーズンの合図だ。
投点が近い
陸っぱりから狙うカレイは、基本的に砂底の沖側(遠い方)にいる。近い場所に仕掛けを落としていても、カレイのいる砂底帯に届いていない場合がある。できる限り遠投し、底質が砂であることを確認してから待つことが重要だ。
サイズを狙う場合は特に、陸っぱりの投点限界より沖にいることが多く、ボート釣りが現実的な選択になる。
第5章|実績タックル大全
「浜名湖での再現性」を基準に整理する。
ロッド
陸っぱりの投げ釣りは、遠投できる投げ竿が基準になる。
サイズを狙う冬の航路のボート釣りには、ボートカレイ専用のロッドを使う。
リール
ボートからの釣りでは、仕掛けを真下に落として底を取る。
扱いやすい両軸リールなら、底取りと誘いがしやすい。
ダイワ PR100H
コストパフォーマンスに優れた両軸リール。ボートからのエサ釣りやルアー釣りに。
仕掛け
陸からは、遠投向きの投げカレイ専用仕掛け。
ボートからは、船カレイ用の基本仕掛け。
カレイングには、波動で寄せるワーム。
バークレー SWパルスワーム
波動で魚を寄せるパルスワーム。カレイのルアー釣り(カレイング)にも有効。
ライン・リーダー
遠投の瞬間にかかる負荷や、底の岩・貝殻との擦れで道糸は切れやすい。
しなやかで扱いやすいフロロのショックリーダーで先端を守る。
ヤマトヨテグス フロロショックリーダー
しなやかで扱いやすいフロロカーボンリーダー。
第6章|時合・潮・空っ風の原則
時間帯
カレイは昼行性に近く、日中(特に朝〜午前中)に活性が高い傾向がある。夜明けから数時間が最も期待できる時間帯で、昼過ぎ以降は活性が落ちる場合が多い。
潮とカレイの位置
- 上げ潮:浅場へ向かう流れが発生。カレイが岸寄りに来やすい
- 下げ潮:深場へ戻る流れ。大型は深場で待機
- 潮止まり前後:食い気が上がる時合い。仕掛けをそのまま置いておくのがよい
遠州の「空っ風」
浜名湖エリアの冬の名物は遠州の空っ風(北西方向からの強い季節風)だ。
北西の風は遠州灘から浜名湖への方向に吹くため、弁天島・新居エリアでは向かい風になる場合が多い。投げ釣りでは向かい風だと飛距離が大幅に落ちる。
対策:
- 風上(北側)から風下(南・今切口方向)に投げるポイントを選ぶ
- 空気抵抗の少ないオモリ(流線型)を使う
- 強風(風速7m以上)の日は別の魚種に切り替えるか、釣行を延期する判断も必要
釣ったあとの楽しみ方
カレイは煮付けが最高の食べ方だ。身が白くさっぱりしており、醤油・みりん・砂糖の甘辛煮付けは家庭料理の定番になる。

ポイントの詳細

マナー・安全
カレイは漁業権の対象外だが、浜名湖内の一部エリアには立入禁止区域がある。特に養殖施設・漁業施設周辺は無断立入禁止だ。
投げ竿は広範囲を占有する。遠投する方向を声かけで確認し、混雑時は間隔を保つ。9月は海水浴場と重なるエリアがあるため、遊泳者への配慮と安全確認を優先する。小型(20cm以下)は産卵前の大切な魚なので、積極的にリリースする。
遠投時の仕掛けのロストに注意。仕掛けは消耗品だが、回収できる範囲でゴミを減らす。
冬の早朝釣行では路面凍結・防寒が必須。低体温症リスクに備えた装備で臨む。